あの日、そこに君がいた――:ゴールデンライラック:少女コミック

孤児の少年ビリーは幸運にも裕福な家庭に引き取られる。そこにはビリーと同年代のヴィーというブロンドの美しい少女がいた。
ライラックの茂みの中で遊ぶ二人。――が、間もなくヴィーの一族は没落。幸せな生活は第一次世界大戦勃発で崩落、ロンドンでのどん底生活が始まる。
苦労知らずで育った一族は自ら収入を得るすべを知らない。

小学館文庫ゴールデンライラック/萩尾望都

小学館文庫ゴールデンライラック/萩尾望都
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その中で本来守られるはずの子供たち、ヴィーとビリーは野菜を売ってその野菜くずを家に持ち帰ったりして必死で家族を支える。
やがてヴィーは「自分の美貌」が武器になることを知り、チップをたくさんもらえるホテルの部屋係、ダンサーと転職しついには年が離れた男性と結婚し、「玉の輿」にのる。

すべては自分たちの家族を救うため――のはずだったのだが…

萩尾 望都:小学館文庫

この作品は当時「スター・レッド」等女性漫画家では珍しい骨太のSF作品を連発する中で「単なる古臭い少女漫画」としてあまり評価は高くありませんでした。

が、財産目当てで結婚したはずのヴィーが、実は夫を深く愛していることに気づいたり、ビリーがそんなヴィーをずっと暖かな気持ちで見守り愛し続けていたり――
わが子を救ったビリーにヴィーの夫が「僕が死んだらヴィーと結婚していい」と宣言したり。

大河ドラマのような「愛のドラマ」にしみじみと心を打たれその心の機微を描く萩尾望都さんのオールマィティな力量に深く感動しました。
ヴィーの持つ「女性本来が持っているどんなことをしても生き抜くという力強さ」と「どんな道を通っても汚れない魂の清らかさ」も好きでした。

大好きなシーンはヴィーの夫の死亡後、パイロットとなったビリーの飛行機に載せてもらってヴィーが大空に向かって大声で夫の悪態をつくところ。

本当は好きだったのに素直になれなかったヴィーのいじらしさ、寂しさにじ~ん。
あとその「寂しさ」につけこまなかったビリーの潔さにも感動。

100点満点の少女漫画でした。

萩尾望都さんは平成24年春の叙勲にて紫綬褒章を受章しました。
紫綬褒章は文化芸術部門に授けられるミニ文化勲章です。おめでとうございます。
少女漫画家では初めてかもしれません。やっぱりすごい人です。

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やまね の紹介

偏った読書遍歴とそのレビュー。 コミックから専門書までなにからなにまで読みます。 書くのも読むのもやめられない。活字中毒をなんとかしてくれ! 乱読&積読仲間募集中!
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