小説:エミリー:嶽本野ばら

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集英社文庫。短篇集、3作品収録。
「淫靡なホテルにお泊りしませんか」
エミリーがカレシをラブホに誘う台詞です。下心がないと言い訳しながら。
「お泊りしに行くんだよ。淫靡なホテルに」
そしてふたりは道玄坂を登り切る手前の横道の「ランボー」というホテルへと。

「この残酷な世界に生み落とされたのは、きっと貴方に出逢う為だったのですよね」

少年と少女の困難で美しい生と性。表題作「エミリー」は三島由紀夫賞候補となりました。アートとファッションへの美意識をとことん描く。乙女魂と、永遠の少女たちに送る美しくも哀しい恋愛小説集。

■レディメイド
同僚や先輩から「風変わり」と称されている貴方。貴方の前にでると口うるさい私は急に言葉を失ってしまう。貴方とデュシャンを話題にした後、帰宅して脱いだジャケットにMoMA展のチケットが入っていた。こうして私と貴方は初めてふたりだけでMoMA展へと――

■コルセット
骨董品店の希彌子さんが首つり自殺した。僕も自殺をしようと近辺整理をした。が、その前に以前から気になっていた神経科の受付嬢をデートに誘うことにした。その女性は二週間後に結婚式を控えていた。

■エミリー
タレントスクールに所属していたころの出来事ですっかり男性恐怖症になってしまった私。Emily Temple cuteのお洋服を着てラフォーレ原宿の前に座り込む。そこが唯一の居場所。そのせいでいじめに会い、つけられた蔑称が「エミリー」。そんな私に話しかけてくる男の子がいた。

実は私はずっと嶽本野ばらを女性だと思っていました。だってほら、「下妻物語」の作風が作風だし、写真も麗人風だし、いや、なんか手がごついな、とは思いましたけど。レースのヘッドドレスを付けている方を普通は「男性」とは認識しません。別に偏見があるわけではないのですが、私の見たところの情報量では嶽本野ばらはずっと女性でした。「コルセット」を読んで「もしかしたら…」と思ってWIKIで調べたら男性でした。ヤラレタ-。

というわけで、この作品集もびっくりです。「下妻物語」のノリを期待したわけですから。…もういっぺん「下妻物語」読み返そうぜ。

タレントスクールでマキトおにいさん(爽やかな体操のお兄さん)の「くるくるしいたけ(男性器)」を見せつけられたことから男性はもちろん、女性にも心を閉ざす少女、エミリー。ロリータ服を着てラフォーレ原宿のオブジェクトの前に座り込む日々が少女の唯一の居場所。
ロリータは横並びの中学生には敷居の高いファッション。彼女ははうっかり写真撮影を許可したために学友にその姿がバレてしまい「エミリー」という蔑称をつけられ苛めのターゲットになる。
彼女に話しかけてきたのは同じ学校のおしゃれな男の子。彼も「デザ工のホモ」と呼ばれ孤立していた。彼が苛められなかったのはデザ工(デザイン工芸部)に所属していたから。デザ工はヲタの連結があって気軽には苛められない雰囲気だったのだ。
彼はエミリーが苛められるのを横目で見ていて何もしない。「学校にいる時は他人のふり」というのがふたりの約束だったから。ある日焼却炉に閉じ込められたエミリーを見つけた彼はまっすぐに彼女の教室に向かって…

目から鱗の作品でした。ロリータ、BL、エロ。私の求めるものが全てここに詰まっていました。…文芸も悪くないな、エロかけるじゃん。と、妙に納得してしまった作品です。乙女も腐女子もきっと大満足、の作品です。脱帽。

いつか自分のために本気で怒ってくれる人に巡り合えるといいですね。男でも、女でも。

――文中抜粋――

「私は弱くない。私は弱くない。私は弱くない…」。
眠りに就く迄、何度この言葉を繰り返したでしょう。もし明日の朝になっても悔しさや惨めさが、今日のままだったら、教室に灯油を撒いて、私を苛めた人たちの頭に灯油をぶっ掛けて、火をつけよう。絶対に。絶対に。そうしなければ、私は負ける。その決意を固めると、急に睡魔は訪れました。

「君は何時からそんなに強くなったんだい。僕は自分を恥じるよ」
「強くなんてありません。でも、支えてくれるものがあるから、私はこうして立っていられる。こうしてまた学校にも来られたし、生きている」
「その支えって」
「Emily Temple cuteのお洋服と、何時も座り込んでいるあの場所と…」
「…と?」
「貴方」

~~私はいいます、神様、あなたに…。
やっていいことと、やっちゃいけないことがあるんだよ。やり過ぎなんだよ。クソ野郎――。

「~~でも、人のために着るんじゃなくて、自分の為にお洋服は着るものだから、嗤われても気にする必要はないと思います。~~お洋服が似合うか似合わないかは、体形や年齢、容姿で決まるものではないと思います。似合うかどうかは気合い次第です」

うーん、この店員さん好いこといいますね。憧れのゴスロリ服着ちゃおうかな~

――――キ・ア・イ・で・!――――

朝日新聞の水曜日の朝刊に連載されている「東京文学散歩」という書評コラムで紹介された本です。東京周辺を舞台にした小説が紹介されています。このコラムは現在も連載中。よく小説選びの参考にしています。やっぱり舞台が近場だと親近感やリアリティが増しますよね。

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やまね の紹介

偏った読書遍歴とそのレビュー。 コミックから専門書までなにからなにまで読みます。 書くのも読むのもやめられない。活字中毒をなんとかしてくれ! 乱読&積読仲間募集中!
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