文学:猫町:萩原朔太郎

「猫、猫、猫、猫、猫、猫、猫。どこを見ても猫ばかりだ」
岩波文庫

東京から北越の温泉に出かけた私は、ふとしたことから、「繁華な美しい町」に足を踏みいれる。すると、そこに突如人間の姿をした猫の大集団が…。詩集「青猫」の感覚と詩情をもって書かれた「猫町」(1935)をはじめ、幻想風の短篇、散文詩、随筆18篇。前衛詩人としての朔太郎(1886‐1942)の魅力が遺憾なく発揮された小品集。

私が萩原朔太郎について知っている少ない知識。
■「青猫」「月に吠える」等、詩を文語体から口語体に変えた教科書に載っている偉い詩人。
■芥川龍之介のお友達。
■「蕁麻の家」を書いた萩原葉子のお父さん。
――にトライ。




■第一部「猫町」「ウォーソン夫人の黒猫」「日清戦争異聞(原田重吉の夢)」…創作風短編
■第二部「田舎の時計」「墓」「郵便局」「海」「自殺の恐ろしさ」「群集の中にいて」「詩人の死ぬや悲し」「虫」「虚無の歌」「貸家札」「この手に限るよ」「坂」「大井町」…SS(♪SS大好きです)
■第三部「秋と漫歩」「老年と人生」…短い随筆
■これらをチョイスして並べた編集者の解説(←すごく長い)

萩原朔太郎の散文詩、短編やSSをある角度で集めた作品集。

散歩の途中で道に迷い見知らぬ町にたどりつく。よく見知った町が裏返るような未知感で満たされる「猫町」。知覚ミスなのか幻想なのか?

ある日から突然に部屋に出没する「黒猫」に怯える「ウォーソン夫人の黒猫」。その異常さに誰も気付かない。私の話を無視してないでこの猫の不自然さに気付いて!
日常に忍び込む違和感にぎょっとさせられる。一瞬の狂気なのか。オカルトなのか?

長々と書かれた解説がまた興味深いです。けして生前豊かではなく親の脛かじりだった作者。壊れた結婚生活と作家としての悩み。文壇に上がるほどの著名な人物なのによく知りませんでした。
現在でこそこのオカルトじみた作品群、現実と狂気のフラッシュバック、精神面の脆弱性はよくみかけるテーマです。しかし、昭和初期にはかなり異質だったでしょう。文学作品にしてはちょっぴり厨二風味で読みやすい。実は猫沢山の「ビバ!猫天国」を期待したのですがいい意味で期待はずれでした。

そして――ウォーソン夫人の逆切れ、怖かった。

――本文抜粋

――何よりも苦しいことは、性慾ばかりが旺盛になって、明けても暮れても、セクスの観念以外に何物にも考えられないほど、烈しい浄化に反転悶々することだった――(「老年と人生」より)

なんだか親近感が沸いてしまいます。繊細な詩人でも本能には逆らえないのですね… 
    ・゚・(ノД`)・゚・

「猫町」、アニメ作品があるようですよ。

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やまね の紹介

偏った読書遍歴とそのレビュー。 コミックから専門書までなにからなにまで読みます。 書くのも読むのもやめられない。活字中毒をなんとかしてくれ! 乱読&積読仲間募集中!
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