ワープポータル不正使用が共感覚と入り交じる:虎よ、虎よ!:アルフレッド・ベスター:SF小説

アルフレット・ベスター ハヤカワ文庫

男はたった一人、宇宙の片隅で生きていた。宇宙船の事故で奇跡的に生き残り、ロッカーに身を潜め、食料とエアーを調達するために命がけの毎日。それでも何年も希望を失わずただひたすら「救助」が来るのを待っていた。

ある日男の側を宇宙船が通る。男は狂喜し「信号」を送り、手近にある数少ない孤独を癒してくれた物を手にし救助を待つ。――が宇宙船は確かに「信号」を見たはずなのに男を通り過ぎ彼方へと去ってしまう。

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男は失望に打ちのめされ絶望する。そののち激しい怒りに襲われる。

――信号は見たはずだ。何故?

そう、宇宙船は男を無視したのだ。遭難者を救う「義務」を放棄し、死にゆく男を見捨てた。運行を止め、男を助けるための「遅れ」で「利益」が消失する恐れのためか。あるいはただ「面倒」だったからか。とにかく男の存在を知った上で見捨てた。男の命も。

その強烈な怒りが男の内面の何かを壊し、そして目覚めさせた。男は漂流している宇宙船の部品を使って新たに小さな宇宙船を組み上げ地球に帰還する。

あの時、しっかりと見た宇宙船の屋号。彼を地球に連れ戻してくれるはずだった宇宙船。その宇宙船を運営する企業に復讐するために。




「本が好き!」の「共感覚者の驚くべき日常―形を味わう人、色を聴く人」のコメントの中で「『共感覚』を扱った部分がある作品」、とのことで私が紹介したSF小説なのですがちゃんと「書評」として書こうかな、と思いまして。

私が学生時代に読んだのが30年ほど前ぐらい、で、初出が50年ほど前らしい。その時点から「共感覚」を知っていたベスターはやっぱりSF作家として素晴らしい先駆者だったのですね。

共感覚はこの男が無理矢理テレポートした際に生じる「五感の混合」という「狂気」に近い形で描かれています。テレポートは「行ったことのある場所」のポートブースにしかいけないお約束。男には「復讐」を遂げるためにどうしても行かなければいけない場所がありそのお約束を破ってしまったのです。
「五感が入り交じる感覚」はベスターが新しい試みとして小説の中で果敢にも挑戦しているのでどうぞ「目」で味わって下さい。

SF作品としてもただの小説としても読み応えがあり、そんな昔に一回図書館で借りて読んだにも関わらず、要所要所はしっかりと心のなかに刻まれています。

冒頭部分に激しいインパクトがあり、ひきこまれます。男が「孤独を癒す術」として時々鳴らしていた料理に使う「攪拌機」。そんなつまらない物を助かると思った時に大切にひきよせる場面がその深い孤独を表現しており、男と共に泣け、怒りを共に感じました。

ちなみにむかしむかしの記憶になり本が手元に無いのでどこか間違っていたら優しくこっそり教えて下さいね。

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やまね の紹介

偏った読書遍歴とそのレビュー。 コミックから専門書までなにからなにまで読みます。 書くのも読むのもやめられない。活字中毒をなんとかしてくれ! 乱読&積読仲間募集中!
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