みんな好きでしょ?「怖い絵」:幻想美術: Fantastic Art:ヴァルター・シューリアン:美術専門書

「理性が眠ると、サイレンが鳴る」:マックス・エルンスト

幻想美術の背景には長い歴史があるのですが、特に20世紀の初めに熱烈な支持を受けるようになりました。
不気味・滑稽・神話的・官能的・退廃的・超現実的あるいは超自然的(つまりは「スーパーナチュラル」)といった幻想的世界を描き、美術運動のジャンルを越えた少々偏向性の強い作品群が紹介されています。

私が始めて幻想美術に触れたのはかなり前。

「ベルギー象徴派展」が催されたときでした。その時クノップフの「忘れられた町」が展示されておりました。薄いベージュの絵でした。
その他デルヴォー・ファブリ・ヌンク・ベルクマンス。まだ19世紀、それらの絵は衝撃的で開催中に数回見に行ってバイト代がすっからかんになりました。(その頃、幸か不幸か美術館が近くにあったのです)

ダリやキリコではなんとなく物足りなく、ピカソやクレーでは崩れすぎ。と感じる私の感性にぴったりくる作品群でした。

この本に載っている作品はどれも不安感や不条理を感じさせる絵です。間違っても居間の壁に飾りたくなるようなそんな絵ではない。

――でも気になるの。見たくなるのです。
その絵の中の何かが心にひっかかるのです。
好きな人は好きなはず。こんな本があるからには。

ニコニコ動画の狂気リンク、「怖い絵」が好きな人はきっと心惹かれますよ。
ベクシンスキーが載っていなかったのはとても残念でした。
ま、画集は数冊持ってるからいいんだけど…

見捨てられた町:フェルナン・クノップフ
見捨てられた町 フェルナン・クノップフ(ベルギー) 紙にパステル

クノップフはブルジョアの名家に生まれ幼少時代にブリュージュで過ごします。裁判官である父親の勧めで法科大学に進むものの文学に魅せられ大学を去ります。
フランス文学を愛し、詩人、ジョルジュ・ローデンバックの「死都ブリュージュ」に魅せられます。
やがて画家として数々の作品を世に送り出した後に敬愛したローデンバックから扉絵の依頼もきます。

ブリュージュはかつてクノップフが住んでいた街でもあるのですが、彼はけして「現実」の「ブリュージュ」を見ようとしませんでした。
やむを得ない時は暗い眼鏡を掛け足早に通り過ぎます。

クノップフの絵のモデルのほとんどは妹のマルグリット。クノップフは深く実妹を愛しており、ブリュージュはマルグリットが生まれた都市でもありました。
マルグリットは嫁ぎましたがクノップフは生涯独身でした。(多分)

その他
「誕生日」:ドロテア・ダニング(アメリカ)油彩
「ミーア、バイオメカニカル・エジプト様式」:H.R.ギガー(オーストリア)アクリル

などの作品も掲載されています。
ドロテア・ダニングは今年の一月に101才で亡くなったそうです。

ルソー、ルドン、キリコ等などその方面ではメジャーな作品も多いですが…ミュンスター大学教授でもあり、心理学・文化人類学・社会学を齧ったシューリアンの独特なチョイスです。

なかなかいい作品がチョイスされてると思いますよ。
このへんは本当に「好み」で別れてしまいますから「お勧め」はできかねます。
もう「古本」でしかお目にかかれなくなりました。

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やまね の紹介

偏った読書遍歴とそのレビュー。 コミックから専門書までなにからなにまで読みます。 書くのも読むのもやめられない。活字中毒をなんとかしてくれ! 乱読&積読仲間募集中!
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